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盲導犬の里 富士ハーネス

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富士山麓の朝霧高原にある盲導犬の育成施設です。
ここ、いつでも自由に見学ができるって知ってました?
私は今回初めて知りました。

来週(ん?再来週だっけ?)、子供達の通う小学校の道徳教育の一環として
視覚・聴覚障害者を招いて理解・交流を深めようという催しがあります。
その事前学習として調べた日本盲導犬協会のHPで、訓練センターは常時見学可能なこと、
そして愛犬連れでもOKなことを知り、子供達の「行って見たい!」の声に後押しされて
出かけてきました。

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中央道の渋滞に巻き込まれなければ、我が家から河口湖まで約一時間。
そこから国道139号線あるいは県道71号線を通って40分前後。
広大かつきちんと整備された敷地にシンプルで清潔感の感じられる施設です。

中央のプロムナードを挟んで、仔犬棟、引退犬棟、訓練棟など、犬のいる部屋から視覚障害者の方たちの宿泊訓練施設などが配置されています。

室内の壁には盲導犬に関する写真や資料が飾られ目を引きます。
印象的だったのは、プロムナードに面した部分がガラス張りになっており、
光が四方から入り込んでとても明るいことです。
本当にきれいな施設だなと感じました。
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一室でPR犬によるデモンストレーションを見学させて頂きました。
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担当はビスケ君。
ラブラドールとゴールデンのミックス犬でエフワン(F1?)と呼ばれる盲導犬訓練センター独自の繁殖犬だそうです。

と、ここで盲導犬豆知識!

日本では盲導犬として活躍する犬種は
  1位  ラブラドールレトリバー  
  2位  エフワン
  3位  ゴールデンレトリバー
だそうです。
その理由としては、やはり犬種的に性格が温厚で人と一緒に活動することを厭わない子が多いためということ。
そして、視覚障害者がハーネスを通して犬の動きを感じやすいようにある程度体格のいい犬でなければならないこと。
そして、目が大きく耳が垂れているという愛嬌のある顔立ちが、人ごみの中に出て行った時でも人間から嫌悪感を抱かれにくいから・・・ということだそうです。

 でもこれは日本独特の考え方で、例えばヨーロッパの方ではダルメシアンやスタンダードプー ドル、ドーベルマンなんていう犬種も盲導犬として活躍しているそうです。
 お国柄の違いですね~。

話を戻しまして、なんだっけ?
そうそう、ビスケ君のデモンストレーション。
この会場も愛犬同伴OKです。
トランプが騒がないかちょっと心配だったので私は後ろの席でスタンバイ。
でも、最初にビスケ君にちょっと反応して「クゥ~~ン」と声を出した以外は割りとおとなしく抱かれていました。

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 盲導犬に関する簡単な説明を聞いた後、ビスケ君がコマンドに従う様子や階段、障害物を認識して歩く様子を見せて頂きました。
感心したのは、自分だけが通れるスペースではなく、ユーザーさんと二人分の幅を確認した上できちんと誘導すること、そして、犬の目線より遥かに高いであろう人間の頭上の障害物まで認識できること。
感服しました。

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このデモンストレーションのあと、20分ほど施設内の格スペースの見学が自由にできます。
残念ながらここから先の見学は愛犬はNGです。
子供達と交代で見学しました。

まず仔犬棟。
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生後30日のラブラドールのパピーちゃん達です。

ちょうど前日2ヶ月を迎えた仔たちがパピーウォーカーさんに引き取られていったばかりなので
現在はこの仔達4頭がいるだけです。
ワクチンが済んでないので触れないのですが、トレーナーさんが一頭ずつ抱き上げて見せてくれます。
もこもこふわふわでもう~~~可愛い~~~!!
あと一ヶ月、兄弟犬たちと社会勉強をしながら生活するそうです。

次に訓練棟。
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1歳になって訓練センターに戻ってきた犬たちがここで盲導犬になるための訓練をします。
ここにいる子たちすべてが盲導犬になれる訳ではなく、不向きと判断された子は介助犬やPR犬、家庭犬など性格に合った道にすすむそうです。
厳しい訓練、がんばるんだよ。

そして引退犬棟。
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盲導犬として活躍した犬たちはだいたい10歳を機に引退します。
そのあとは引退犬飼育ボランティアの方たちに引き取られたり、パピーウォーカーの時に暮らした家に戻ったりとその犬によって余生の過ごし方は違います。
ここには4頭の引退犬たちがのんびりとお日様の光の当たる温かい庭に面した部屋で過ごしていました。
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とても人なつっこく、部屋に入ると自ら寄ってきて顔をペロペロ舐めて歓迎してくれました。
「長い間ご苦労様。人間の役にたってくれてありがとね」と声をかけずにはいられませんでした。

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この子たちはもう16歳。
白い子はほとんど一日中寝たきりで、黒い子は寒い地方で活躍していた為関節を悪くしてしまい、トレーナーさんの介助なしでは歩くことも困難です。
この子達はいったい何人の視覚障害を持った方たちの光になったことだろう、そしてその光の強さはその方達にとってどれほど大きく力強いものだったのだろうかと思うと胸が締め付けられる思いがしました。
穏やかな毎日を過ごしてくれることを願わずにはいられません。

他にも病棟などもあったり、またこの日は数名の視覚障害者の方達が実際に訓練をしており
それらは遠巻きに見学させて頂きました。

トレーナーさんのお話で一番心に響いたのは、盲導犬ユーザーさんつまり視覚障害者の方達のこと。
ユーザーさん達は盲導犬を得ることによって、行動範囲が広がるとか、学業・仕事に就けるという物理的なことよりも、犬と共に生きるということに希望を見出すことができるのだそうです。
暗闇の中でひとりぼっちという絶望的な孤独感の中から、犬の温もりを感じ、犬からも必要とされる存在になることで、もう一度自分の足で歩こうという前向きな気持ちになれるといいます。
その気持ちはトランプを迎えて犬と一緒に生活するようになった私にも痛いほどわかります。
どれほど人間の支えになってくれてるか、その大きさは計り知れないです。

現在盲導犬必要としてる方達は全国に約4700人。
それに対して今活躍している盲導犬の数は996頭。
まだまだ不足している状況だということです。

また盲導犬の育成にかかる費用は95%以上が寄付に頼らざるを得ないということです。
国の管轄に入ってしまうと、補助金は得られるものの、逆にいろいろと規制されることが多くなるであろうことが懸念されるというのです。

例えば、現在盲導犬の貸し出し・訓練にかかる費用は協会が負担しているのが、ユーザーさんからも徴収せざるを得なくなったり、視覚障害の程度の線引きが細かくされてしまい、「不必要」と判断される人が多く出るようになったりと、国が絡んでくるとそれはそれで問題がでてきてしまうことが予想されるのだそうです。
「その辺りが難しい点なんですよ。」と、おっしゃっていました。
それが『盲導犬の育成はみなさんの温かい支援によって成り立っています』というキャッチコピーの所以なんです。

ここのセンターの見学も入場料は一切かかりません。
でも受付に設置された募金箱に勉強料を納めてきました。
私達にも何かできることを少しづつでも・・・という気持ちにつき動かされます。


今回、この施設を見学することで盲導犬を取り巻く現状というものを初めて知りました。
それでもきっとまだまだほんの一部なのだと思いますが、テレビのドキュメンタリー番組やドラマなどではなかなか十分でない部分が多いような気がします。
何かの機会があれば是非足を運んでみて下さい。
この周辺は自然の宝庫です。
観光に適したスポットがたくさんありますよ。
行楽の秋、(だけでなくていいですが)富士周辺に遊びに来たら、そのついでに気軽に寄ってみてください。
センターの人も犬も、温かく迎えてくれますよ。

大変長い記事になってしまいました。
最後まで読んでくださった皆様、ありがとうございました。
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by tramplady | 2008-10-05 18:25 | おでかけ

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